- 体は野生的に、頭脳は高度の文明人に、野性と文明が同居している教育これが当幼稚園における教育の基本的な考え方である。
- 体は野生的にとは、子どもを自然に帰すことである。これは裸を意味している。
- 頭脳、すなわち人間の能力についての高度な教育は才能教育の理念に従って行う。幼児期の頭脳はあらゆる好ましい豊富な刺激によって高度に発達する。この刺激を幼児教育の基本的教材とする。
- 体力は徹底的に鍛えられるもの、頭脳はあらゆる刺激によって作られるもの、心は行うことによって育てられるものと考える。
- 薄着のユニフォームを定める。(半袖Tシャツ・短パン)
- 長ズボン・長袖シャツ・セーター・タイツは原則として使用禁止。
- 乾布摩擦を朝夕2回家庭で行うのが望ましい。
- 最初薄着に対して父母は不安を示したが一学期にしてほとんど不安解消。
- 新入園児は半袖(薄着)を希望して入園しているので、既にその心構えは出来ている。4月当初から半袖でいる事に違和感を示さない。
- 薄着教育に三つの期待をかけた。
(ア) 薄着が子どもの健康にどのように影響するか。
(イ) 薄着の生活は子どもの心理にどのような変化を与えるか。
(ウ) 親の過保護から子どもを解放できるか
- 一年にして満足の得られる三つの答えが出た。
(ア) は、健康に付随するあらゆる能力がぐんぐん伸びた。
(イ) は、開放的であり寛容であり明朗闊達な性格が表れた。
(ウ) は、母親の無益な保護を必要としない心と体になった。むしろ母親が子共から開放された感が強い。
- 半袖になると運動したくなる。薄着と運動は不離一体の関係であることを子どもは実現し証明してくれた。
- 毎朝20分間、全部の園児が一斉に運動を展開する。これを全体運動と称する。種目は種々の運動器具を使って子どものあそびの中の諸要素を取り入れて実施する。走る・這う・転がる・跳ねる・飛ぶ・歩く・投げる・受ける・等々。器具は、マット・飛び箱(大・小)・大ボール・平均台・フラフープ・鉄棒・トランポリン・パカパカ・縄・ブリッジ・等々
- 病気に対する抵抗力が出来た。病気をしても回復が早くなった。
- 風邪をひかなくなった。小児喘息が治ったなどの予期にないことが起きた。
- 頭を使う時であるから運動は控えたほうがよいというのは間違いである。幼児の運動は大脳中枢に敏感にはねかえり、神経活動を活発化させる。
- 体の丈夫な子は、頭の動きも活発であるといえる
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薄着で体力作りを
- 生命は宇宙大自然の法則に従って誕生し、自ら生きる力と叡智を持っている
- いかなる自然の変化にも順応し、調和して強い生命力を発揮し得る体を健康体という。
- 誤れる現代文明に汚染され蝕まれつつある現代の人間を今一度自然の原点へ立ち返らせ、自らの生きる力を取り戻させなければならない。
- 子どもを薄着にすることにより、現代文明により失われた力は再び子どもに戻ってくる。
- 薄着は単に皮膚を鍛錬することだけではない。自然や刺激に敏感に反応するデリケートな人間本来の能力を蘇らせることである。
- 薄着で鍛えれば多汗にならず、厳冬の候といえども体に鳥肌を生ぜず運動・休憩時ともに体調を整えて常に正常でありえる。
- 太陽の光線・風・寒暑・雨・雪など自然との接触は直接的であり密着している。
- 皮膚がキャッチする刺激に対処するため、体の全機能は敏速に発動する。この機能はやがて人間のあらゆる能力の発展をもたらす。
- 薄着によって得られる体の能力は健康や体力という単純なものではない。ほかのすべての能力と相関関係をもって発達する。
- 薄着によって精神も頭脳も高度な好ましい影響を受ける。
- 薄着によって体を鍛錬する過程の中に、重要な多くの教育的な要素が含まれていて、連鎖的に他の能力も高められる。裸は最も重要な教育部門であると考えられる。
- 健康や体力作りは、行事的催し物ではできない。子どもの生活習慣の中に正しく位置づけられなければ多くの良い成果は望めない。
- 薄着でいる時期は年齢的には出生のその時から、引き続き幼児期といわれる期間または幼年期が良い。これは自然に順応する力が大きいからである。但し乳児期はその心構えの中で育児することが好ましく必ずしも全面的に裸にする必要はない。乳児期に準備された幼児は1歳に達する頃には既に裸教育のレディネスが出来上がっている。
- 季節的には気温が段々上昇してくる説き、5月ないし6月初旬が良い。秋冬は準備期と考え乾布摩擦、薄着の習慣をつけるようにする。
- 薄着になったために起こる病気はない。体力的に弱い子、または虚弱児風邪にかかりやすい子など、案ずることなくむしろ積極的にやるのが良い。
- 自然を恐れ、自然から逃避してはならない。自然は人間を生み出した母体であり、むしろ全面的にその中に没入する心構えが必要だ。
- 弱い子は保護される・・・保護される子は弱くなる・・・この悪循環を繰り返され子どもは止めどなく弱体化していく。この悪循環を親の叡智と信念で断ち切らなければならない。
- 子どもが弱いのは先天的な体質によると考えたがるが、これはむしれ後天的であり、具体的には乳幼児期の育つ環境の中で培われた結果に外ならない。(父親が弱いから、母親が病弱だからと、一種の宿命的な諦めをもって、生まれてくる子どもの環境を用意していることが多い。)
- 薄着は子供を健康にするあらゆる要素を具備している。
- 薄着と運動は表裏一体である。薄着は運動を誘発するので、自然に子供は暴れまわりたい力が増進する。(薄着でじっとさせておけば風邪を引くであろう。)
- 運動が旺盛になれば、体は柔軟になり、運動能力が発達し怪我や危険を避けることが出来る。
- 子どもの弱い原因は、多くの場合母親の心の中にある。強い因子をもった母親によれば子どもは強くなり反対の場合には弱くなる。大人、特に母親の言動は暗示となり、子どもの健康に大いに影響する。
- 寒いぞ、危ないぞ、病気になるぞ、風邪ひくぞ、咳が出るぞ、うちの子は弱い、転ぶぞ、落ちるぞ、恐いぞ、など子どもの心の中に弱いものを植え付け恐怖を抱かせて臆病にしてしまう。親の言葉のままに親の心のままに子どもはなるものである。
- 過保護は愛情ではなく母親の無知のしからしめるところである。
- 厚着は病気のもとである。
- 酸素の不足は頭にも体にも悪い。部屋は解放、暖房はしないに限る。
子どもには風の子の自覚を持たせる。
- 薄着と乾布摩擦を同時に次の要領で行うとよい
- 毎日起床時と就寝前の二回行う。
- 皮膚病以外の病気の時でも行う。
- 首から肩、背中、尻、腿、足、足の指先まで、体の前面は顔、耳、胸、腹、両手、指先までくまなく行う。
- やわらかいタオル又は手のひらなどで軽くまんべんなく皮膚が桃色に紅潮するまで、軍手を両手にはめて行うと便利であり効果的である。
- 摩擦の方向は、末梢より心臓の方向へ向かう。
- 小さい子は両手で前後から同時に行うとよい。横臥の姿勢でもよい。
- 乾布摩擦の時に子どもの体をよく観察し異常など発見する。
- 乾布摩擦は血行を良くし体温を高め裸になり易い態勢を作る。